令和6年度 第3回集団指導者養成教室
共催:産経新聞厚生文化事業団
開催日:令和6年12月6日(金)14:00~16:30
会場:たかつガーデン
講師:NPO法人ホッとスペース中原 代表 佐々木 炎 氏
研修レポート:「虐待・不適切なケアを防止する ~人権と尊厳を支える実践~」
令和6年12月6日に第3回集団指導者養成教室を開催いたしました。
今回のテーマは 「虐待・不適切なケアを防止する」 という大切な内容。
講師は、NPO法人ホッとスペース中原の代表 佐々木 炎(ささき ほのお)さん でした。
佐々木先生は、認知症ケアや人権に関する講演を全国でされている方で、
「人間の尊厳って何?」というテーマから、現場で実践できるポイントまで、
分かりやすく解説してくださいました。
研修のポイント
○虐待防止の意義とは?
「虐待」と聞くと、悪意を持って行うものを想像しがちですが、
実は “気づかないうちにやってしまう” ことが多いのが現実です。
例えば…
無意識のうちに強い口調で指示してしまう
利用者の意向を聞かずに介助を進めてしまう
時間を優先して、食事や排泄の介助を急がせてしまう
こうした 「不適切なケア」 が積み重なると、虐待につながってしまう可能性があるんです。

佐々木先生と受講者のグループワークのようす
○法律の観点からも学ぶ
「虐待防止法」や「身体拘束ゼロ」についても詳しく学びました。
特に「身体拘束」は、
切迫性(生命の危険があるか)
非代替性(他に方法がないか)
一時性(一時的なものであるか)
の3つの条件を満たさないと、絶対に行ってはいけないこと。
これを守らずに 「利用者の安全のため」 という理由だけで身体拘束をしてしまうと、それは 虐待 にあたる可能性がある、ということを改めて認識しました。
○「ことばの力」で変わる!
「虐待を防ぐために、まずは “ことばのかけ方” を見直そう!」という話が印象的でした。

研修を終えて…
今回の研修では、虐待防止について「法律」や「実践方法」など多角的に学ぶことができました。特に 「虐待はある日突然起こるものではなく、不適切なケアの延長線上にある」 という言葉が印象に残っています。
「忙しいから…」「時間がないから…」といった日々のちょっとした対応を見直すことで、利用者さんの 「人としての尊厳」 を守ることができるんだと実感しました。
これからも 「その人らしい生活を支えるケア」 を大切にしていきたいですね!
【参加者アンケート】
・虐待について色んなことを学ぶことができました。自分が無意識のうちにしている行動が、虐待にあたっていてショックを受けました。
特に、スピーチロックをしてしまっているし、他の職員も気を抜くとやってしまっている気がします。とても難しいと感じました。こまめに振り返りを行う必要性を強く感じました。(児童施設部会)
・研修を通して、普段の介護について振り替えることができました。不適切ケアの内容例について行った事があるものや、現場で見た事があるものがあり、改めて不適切ケアを行っていたのだと考える良い機会となりました。研修を通して、どれだけ不適切ケアを行っているのか、どのように働きかければ改善を行う事ができるのか考えていきます。(老人施設部会)
・虐待の定義や被虐待の対応の確認と、周囲の反応を含め、どう自施設に周知還元するかを考えました。(母子施設部会)