泉佐野市社協では、令和元年度から生きづらさを感じている人々のつながり事業「縁え起ぎプロジェクト」(以下、プロジェクト)を社協の独自事業としてすすめています。プロジェクトの対象は、ひきこもりがち、コミュニケーションが苦手、敏感すぎて疲れてしまうなど生きづらさを感じているすべての人です。スタートするきっかけは、令和元年度から社協が生活困窮者自立支援事業を受託するようになり、その事業の就労準備支援講座の参加者から「仕事のことだけでなく、参加者同士で気軽に話がしたい」という要望があがったことでした。社協が当事者のニーズを受け止め、カタチにすることで、取り組みがすすんできました。プロジェクトは、人とのであい・つながりから、自分を発見し、他者との関わりについて学ぶことを目的としています。出入り自由で、安心して自由に過ごせる場所“りれーしょん”、ハイキングなどイベント型のテーマ別活動など①当事者が安心・安全な場所だと感じることができるような「居場所づくり」を中心に、②ひきこもり講演会などの「普及・啓発」、③趣旨に賛同し、一緒に活動してくれる「縁え起ぎサポーターとの協働」の3つを活動の柱にしています。んは、親の介護や経済的な問題が重なり、日常の何気ない話を気軽に話せる人がいないなど、孤立を感じるようになっていました。そんな時、生活困窮者自立相談支援窓口の担当者からのすすめで、秋のハイキングに参加しました。のが趣味だった山本さんは、自然が好きだからという気軽な気もちで参加を決めました。参加してみると、初対面でもメンバーが気軽に話しかけてくれ、マイペースでいられる気を遣わない雰囲気に居心地のよさを感じることができました。そしてその後も少しずつですが、当事者同士の交流会や他団体が主催するひきこもりの講演会に参加するようになりました。こもりの状態ではないかと思った。似たような経験をもつ人々がつながる場所に行くことで共通の話題を話せる人を求めていた」と参加した時の思いを山本さんはふりかえります。そのプロジェクトに参加する山本さもともとバイクのツーリングに行く「講演会のチラシを見て、自分がひき朝あ熊く祐ゆ子こさんと印い具ぐ政ま弥やさんです。「参加者のすてきなところを見つけて伝えていくようにしています」と語るのは、事務局を担う泉佐野市社協の当事者のできていないことに当事者自身も支援者も注目しがちですが、人とつながることで「ありのままの自分」でいいと気づき、当事者が主体的に生きることを支援しています。また、プロジェクトは生活困窮者自立支援事業と連携しています。生活困窮者自立支援担当者が当事者と深く関わる機会が増えたことで、面談室だけでは見えない本人の希望や思い、強みを発見することができ、その人らしい就労支援ができるようになりました。生きづらさを解消するためには、当事者への支援だけでなく、社会全体の理解の輪を広げていく取り組みも必要です。社協では、理解がある企業や団体、個人をプロジェクトにつないでいます。縁え起ぎサポーターのAさんは、手芸やお菓子づくりなどの講師として、活動を支えているうちのひとりです。はじめは何をしていいか戸惑うこともありましたが、昨年のクリスマス会前当事者の組織化と参加支援●泉佐野市社会福祉協議会きっかけは当事者の「声」安心・安全な場所をつくるんんんさまうんさ4つながる「場」を求めて新たな発見につながる共に活動する・支えあう当事者が作成した手芸作品が共同募金のガチャガチャの景品に(泉佐野市)令和6年4月1日に、孤独・孤立対策推進法が施行され、切れ目のない相談支援、連携強化、人と人とのつながりを実感できる地域づくりが求められています。今号は、病気、失業、親の介護、経済的な問題などがきっかけで孤独・孤立を感じてしまった当事者の思いと、本人に寄り添い、その人らしいくらしを支え、“共に生きる社会”をつくる、泉佐野市(4・5面)と池田市(6・7面)の実践を紹介します。特集×地域のひろば共に生きる社会をつくる
元のページ ../index.html#4