ふくしおおさか2023年新春号
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共通支出(費用)の配分について複数の施設や事業を実施している法人でよくご質問をいただく共通支出(費用)の配分の取扱いを整理しました。社会福祉法人会計基準の運用上の取り扱い(以下「取り扱い」)7において、「人件費、水道光熱費、減価償却費等、事業区分又は拠点区分又はサービス区分に共通する支出及び費用については、合理的な基準に基づいて配分することになる(以下略)」と規定しています。例えば、拠点区分で発生した水道光熱費の金額を、拠点区分内の複数のサービス区分に振りわけることが共通支出(費用)の配分に該当します。特定の事業区分・拠点区分・サービス区分に対して行われた取引は共通支出(費用)に該当しません。契約書や請求書等でどの区分で行われた取引か特定できる場合、当該区分で支出(費用)を計上します。例えば、支出に関する請求書に区分甲に関する取引が10、区分乙が20、合計30と金額が記載されていた場合、区分甲に10、区分乙に勘定科目ごとの配分方法の例は社会福祉法人会計基準の運用上の留意事項(以下「留意事項」)別添1に記載されています。配分方法は勤務時間、人員配置割合、延利用者数、収入、食数、消費金額、建物床面積等があげられています。これらはあくまで例示であり、法人の実態に即した合理的な方法を採用することを求めています。なお、採用した配分方法は、「留意事項いて「記録する」ことが求められます。経理実務を考慮すると、配分に用いる基準は毎回数値が変動するものと比べ、配置や面積等の固定値の方が計算は容易です。また、配分のためにその都度個別に集計する基準を用いるよりは、収入や延利用者数など会計上の金額や他の報告で集計している基準を転用する方が事務負担は軽減されます。の継続性を求めており、配分も同様です。「取り扱い」7において、「一度選択した配分基準は、状況の変化等により当該基準を適用することが不合理であると認められるようになった場合を除き、継続的に適用する」と定めています。状況の変化等に関係なく収支差額や増減差額の調整として配分基準を変更しないようにご注意ください。関するものですが、配分対象になりません。「留意事項」6において、「法人本部に係る経費については、理事会、評議員会の運営に係る経費、法人役員の報酬等その他の拠点区分又はサービス区分に属さないものであって、法人本部の帰属とすることが妥当なものとする」と」13(1)にお規定されています。処理を混同しやすいので、違いを説明します。内部取引とは区分間で収益と費用が同額計上される取引で、内部取引消去の対象になります。社会福祉法人会計基準は、会計処理法人本部における経費は法人運営に内部取引と共通支出(費用)の配分の「留意事項」23では、「就労支援事業のある拠点区分において製造した物品を他の拠点区分で給食として消費した場合には、就労支援事業収益(収入)と給食費(支出)を、内部取引消去欄で相殺消去する取扱いをするものとする」と、例として紹介されています。一方、共通支出(費用)の配分は、1つの取引を区分間で振り分けることで、内部取引消去の対象になりません。資金収支内訳表における内部取引と共通支出の違いは表の通りです。●共通でない支出(費用)●合理的な基準と継続性●法人本部の経費と共通支出●内部取引と配分の違い内部取引共通支出11第691号 この広報紙の作成には共同募金配分金を活用させていただいています施設通信島田会計大阪事務所公認会計士・税理士 川かわ嶋しま 良あき典のりけいえいそうだんしつけいえいそうだんしつ20の支出を計上します。資金収支内訳表における内部取引と共通支出の違い勘定科目就労支援事業収入100給食費支出水道光熱費支出区分A区分B合計10010040160200内部取引消去100△100△100経営相談室だより

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