ふくしおおさか2022年秋号
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崎ざき哲てつ郎ろう理事長 「虐待件数の増加は、コロナ前から続いている孤独・孤立などの社会状況の結果です。今、要保護児童対策地域協議会にあがっている虐待ケースについては、コロナが直接的な要因とは言い難いですが、今後、注視する必要があります」と児童虐待問題の第一人者である津つは警鐘をならします。防止協会は、電話相談“子どもの虐待ホットライン”を実施。虐待に関わるすべての人の相談を専門的な知識をもった相談員が対応しています。令和2(2020)年度は、休校によるストレス、コロナによる収入減など初回の保護者の相談が増え、これまで支援を必要としていなかった層にも大きな影響を与えたことがうかがえます。また、行政で実施している乳幼児健診では、子どもたちの運動発達や言語能力の遅れがでているという報告も受けています。ゲーム依存や性的問題行動の増加など、今、大きく表面化していない問題についても、すべての世代の子どもたちに大きな影響があったことを前提に、きめこまやかに子どもたちのようすを見ていくことが重要です。談所や市区町村が行います。しかし、増加する虐待件数にマンパワーが不足し、対応が追いつかないという課題があります。こうした状況を受け、国は今年6月、児童福祉法を一部改正。民間と協働という大きなテーマをうちだし、妊産婦、子育て世帯、子どもが気軽に相談できる身近な相談機関“こども家庭センター”の設置を努力義務にしました。るだけではなく、支援をつなぐためのマネジメント(サポートプランの作成)等も担っています。行政・民間が一体となり、具体的な支援メニューを開発・拡充することで、支援体制の構築をめざしています。しながら行政と連携強化。行政職員の義務研修や専門性を高めるためのスーパーバイザーの派遣など、児童虐待防止に関わる人材の養成・育成を行っています。近年は、市民の児童虐待に対する関心の高まりを受け、専門家だけでなく、児童虐待の対応は、基本的に児童相“こども家庭センター”は相談を受け防止協会では、民間の独自性を保持より幅広い層への自主講座も実施。受講者が虐待防止や子育て支援の活動に参加することで、支援の層を厚くすることを目標にしています。また、子どもたち自身が子育てや虐待について学ぶ、高校生対象の予防教育事業も実施しています。虐待についての正しい知識を習得し、予防や自ら解決するための方法を身につけられるように働きかけています。「児童虐待を予防・防止するうえで最も大切なのは家族を孤立させないこと。都市化が進む中、孤立が深刻化し、弱い立場にある子どもが被害にあっていま増え続ける児童虐待とコロナ民間の力を生かす 法改正予防・防止の体制づくり支援と支援の隙間を埋める        4全国の児童相談所が令和3年に対応した18歳未満の子どもへの虐待件数は、20万7,659件と過去最多となり、増加の一途をたどっています。国は、今年6月、児童福祉法を一部改正(令和6年4月1日施行 一部除く)。市区町村に“こども家庭センター”を設置するなど、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化や事業の拡充をすすめています。今回は、日本ではじめて虐待防止に取り組む民間団体として設立された、認定NPO法人児童虐待防止協会(以下、防止協会)にインタビュー。コロナ禍での児童虐待の現状と課題、今後取り組むべき方向性について聞きました。津崎哲郎理事長認定NPO法人児童虐待防止協会 平成2年、子どもの虐待を防止するために、医療、保健、福祉、法曹、教育、報道などの関係者により日本で最初に創設された民間団体。 現在は、電話相談研修会の開催や講師派遣、学校授業への参加、行政からの受託事業など地域の支援者や児童福祉施設関係者、市民を巻き込むような事業を展開。特 集―11月は「児童虐待防止推進月間」―子ども・家庭を社会につなぐ子ども・家庭を社会につなぐ

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