ふくしおおさか2022年特別号
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施設通信ART&(福)素■■王会は障がいのあるアーティストが集う「アトリエインカーブ」を設立。アーティストの作品を国内外の美術館やギャラリー、アートフェアに発信している。理事長の今中博■■之さんに話を聞いた。デザインではなくアート人に伝えるのがデザイン。自分の思いをぶつけるのがアートだ。アトリエインカーブではアーティストを支えるスタッフをデザイナーと呼ぶ。デザイナーはほぼ全員学芸員と社会福祉士の資格をもつが、指導や管理は行わない。指導することで、アートがデザインになってしまうか大阪発!現代アートの発信拠点アートフェア東京への出展「アートフェア東京」は、古美術・工芸から、日本画・近代美術・現代アートまで、幅広い作品のアートが展示される日本最大級の国際的なアート見本市。出展するには、世界に通用するクオリティがあるかなど厳しい審査を通過する必要がある。しかし、アトリエ社会福祉法人で唯一、2013年から毎年出展している。安定を捨て、使命に導かれ起業今中さんは、デザイン会社に勤務していた時に知的障がい者と知り合う。彼は、特別支援学校の卒業をひかえ、絵を販売して生活したいという夢があった。障がいがあるだけで、生活が苦しく、いじめにあうのはおかしい。彼の夢に共感した今中さんは、4畳と6畳の部屋と倉庫を借り、無償で提供した。そして、関係者の後押しもあり、20年前に法人を創設した。これまで、障がい福祉の世界で新たな領域を開拓してきた今中さん。災害の頻発や戦争の勃発など、先行きが不安になる高校生にメッセージをくれた。「社会福祉は、誰かに強制されてできるものではない。でも、旗をあげたい時に、それが実現できるよう、環境をつくるのが大人の私の使命だと考えている」と、優しいまなざしで答えてくれた。らだ。今の障がい者アートの「障がい者」という枠を超え、現代アートに挑戦している。制作を行う。ある人は毎日絵を描く一方、ある人は10年に1枚しか描かない。また、作品をお金に替えることを希望する人や、誰にも見せないことを望む人など、全てがアーティストに任されている。アーティストは自由意志で作品のインカーブは今中さんが設計したコンクリートの壁と開放的な窓が特徴のアートスタジオ(大阪市平野区)オフェンス No.7(新木友行)素 材 :ペン、色鉛筆/紙サイズ :1030×728mm制作年 :2019年copyright © 2022 atelier incurve今中博之さんcopyright © 2022 atelier incurvecopyright © 2022 atelier incurve丸の支口(寺尾勝広)素 材 :インク、クレヨン、スクラッチ/厚紙サイズ :250×250mm制作年 :2004年copyright © 2022 atelier incurve高齢者、子ども、障がい者などさまざまな生活課題のある人びとの生活を支えている社会福祉施設。そのなかで、ユニークなアート&ファッションに取り組む2施設を紹介する。 大学卒業後デザイン会社に17年勤務し、その後2002年に社会福祉法人を創設した今中さん。 大のおばあちゃん子で、「愛情に包まれ優しく厳しく育てられた」と感謝を言葉にする。10福祉を変える!FASHIONみんなを元気に!とで■■

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