ず8生活を守り金銭を管理本事業の利用にあたってはきな条件があります。1つは、本人に契約締結能力があることです。判断能力が十分ではない方が対象ですが、利用することでどのようなメリットがあるかなど、事業内容をある程度理解できる必要があります。そのうえで本人と市町村社協が契約を結、2つの大び、サービスを開始します。もう1つは、本人に利用意思があることです。いくら支援機関が必要だと思っていても、本人自身が利用の意思を示さなければ契約は成立しません。新規相談事例の中には、本人の契約締結能力や利用意思の有無があいまいで、市町村社協では契約締結の可否が判断できない場合があります。このような場合には、弁護士、医師、学識経験者等の委員で構成する審査会で、契約締結の可否を審議し決定します。令和3年11月の審査会では、新規契約締結に関して4件の審査を実施しました。「本人の契約締結能力は認められるが、親族からの経済的虐待がある。成年後見制度を利用し、取消権(本人が不当に契約をさせられた場合等に、後見人等がその契約をなかったことにできる権限)を確保する必要がある」など、さまざまな審査結果となりました。本人の生活を守るため、法律的、医学的、福祉的見地等から検討を重ねています。井上計か雄お弁護士(写真)は、本事業の意義をこう考えています。な支援があれば今までどおり生活していくことができます。本事業は、判断能力が不十分な方が、適切な福祉サービスを受けるための援助や日常的な金銭管理の支援により、安心して自立した地域生活が送れるようになることを目的としています。社会福祉協議会が実施主体であることで信頼も得ており、本事業の利用により、結果的に他者からの金銭搾取や権利侵害を防止する役割も果たしています。ご本人の権判断能力が十分でない方が地域で安心して生活するために支援する日常生活自立支援事業(以下、本事業)。利用者数は増加(令和3年10月末、府内41市町村社協で2,896人)しており、近年、とくに精神障がいのある利用者が増えています。今回は、契約締結の可否等を審議・決定する「権利擁護推進審査会(以下、審査会)」の役割と意義について紹介します。審査会委員長である大阪弁護士会の「判断能力が不十分であっても適切利を護り、権利を実現していくための重要な事業であり、身近なところで、ご本人の意思に基づいて支援がなされるもので、今後もその重要性はますます大きくなっていくと考えられます」。現在、成年後見制度利用促進法、成年後見制度利用促進基本計画に基づく取り組みが全国で進みつつあります。その中でも、「日常生活自立支援事業等関連制度からのスムーズな移行」が示されています。また、国の成年後見制度利用促進専門家会議の委員からは、「今後は、意思決定支援の観点から、日常生活自立支援事業もできるだけ使っていく。適切な支援方法のマッチングのアセスメントとして、さまざまなバリエーションを検討することとなる」との意見があり、本事業のより一層の拡充、展開が期待されています。各専門分野からの意見が交わされる権利擁護推進審査会~~審審査査会会のの役役割割とと意意義義~~日日常常生生活活自自立立支支援援事事業業
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