ふくしおおさか685号(秋号)
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本会医療部会は、無料低額診療事業(以下、無低診療)を実施する病院・診療所で構成されています。この事業は、金銭的な理由や特別な事情で医療を受けられない人に、無料または低額で診療を行う事業。主に相談を受けた行政等から連絡が入り、駐在のMSW(医療ソーシャルワーカー)がコーディネートします。まだまだ認知度が低く、広く知られていません。今回、無低診療に取り組む大阪キリスト教社会館診療所とMSWを取材しました。高齢者の2人世帯。ひとりは支援者にMSWが一歩、家庭に踏み時には、行政や社協から相談を受けて社会貢献支援員に、DV被害を受けた母子の相談が行政から入りました。母親は若く、幼い子どもは無表情で感情の起伏がないとのこと。DVを間近で見続けた影響が考えられることから、CSWのつ佃くだ直ただしさんに連絡。支援員と共に面談を実施することになりました。母子は、新生活をはじめるために他市から転居してきたばかりで、家電製品や食材の支援を希望。面談後、佃さんは、今後も母子が相談できるつなぎ先が必要と考え、行政担当課や女性相談センターと情報共有。また、子どもの予防接種や養育面での相談先として、保健センターとも情報共有を行い、相談機関の隙間を作らないことに留意しました。児童養護施設職員として、親の養育が子どもの表情や態度に表れることを経験しており、食材の買い物同行の際、積極的に子どもとコミュニケーションを取り、表情が固くないかなど確認をしました。幸い子どもに大きな影響はなさそうでしたが、会話中も母親のスマホを熱心に触り離さなかったことから、早く保育園に通わせ、同世代の子どもたちと関わりをもたせる方が良いとアドバイスしました。その後、施設のベビーカーの貸し出しや、購入した家電の設置などを愛育社の職員がアシスト。保育所の入園手続きも早急に進めるなど、佃さんを中心とした支援で、安心して新生活を始めることができました。「SOSが出せない人は実は地域にたくさんいると思う。サインがあればすぐに支援したい」と佃さんは話します。コロナ禍の影響などで、緊急支援を必要とするひとり親家庭は増えています。総合施設長の井いえ上伸し二郎さんは、「施設だから地域貢献をするのではなく、困っている人がいれば、お互いに助け合うのが当たり前の姿。昔からの地域の助け合いを大切にし、開かれた施設であることを大切にしている」と信念を語りました。のうんじろうよって高齢者福祉施設への入居手続きが進められていました。しかし、入居に必要な健康診断の受診費用がありません。同居人から虐待があり、金銭的な搾取を受けていたからです。そこで無低診療を利用して、健康診断を受けさせてもらえないかと相談があり、無事受診することができました。込んで、聞き取りを行わないと分からない、複雑なケースも多く、貧困以外にもゴミ屋敷や薬物など、さまざまな生活課題を抱えた方の対応をしています。協力することもあります。また、地域活動の中で何気ない住民との会話から、生活の困りごとや地域の気になることが耳に入ることもあります。無低診療に取り組む診療所とMSWは、地域に根付き、さまざまな声をキャッチし解決に導くのが強みといえます。この他に大阪キリスト教社会館診療所では、介護事業や認知症カ駆けつけ、『地域住民の健康な暮らしを守り続ける』ことを大切にする診療所とMSW。身近で相談しやすい居場所として、地域の福祉を担う姿がとても印象的でした。フェ、こども食堂なども運営。また、診療所の患者さんが、地域でいつまでも生活を続けられるようにという思いから、視覚障がいの患者さん向けに、地域の広報誌の音声録音や点字を作成するボランティアも活動しています。支援が必要ならどこでも母子世帯のSOSを支援地域に根差した支援を実践10「大阪しあわせネットワーク」では、親と子の緊急支援を行っています。今回は、児童福祉に携わって100年以上の歴史のある(福)愛育社 児童養護施設愛育社(堺市/児童施設部会)の実践を紹介します。総合施設長の井上伸二郎さん地域に寄り添う地域に寄り添うMSW福井さん(左)と95歳の尾崎理事長(右)MSW福井さん(左)と95歳の尾崎理事長(右)CSWの佃直さん 暮暮ららししをを守守りり続続けけるるままちちのの診診療療所所医医療療部部会会社会福祉法人の地域貢献社会福祉法人の地域貢献

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