ふくしおおさか1月号
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『たこ焼きの岸本』で描く支えあいのまち当たり前の風景に宝物がこれから描きたい世界3小説が最終的に受賞することがあるんです。最終選考は作家が審査しますが、人が変わると見方が変わるんですよね。でもそれ以前に、強烈に推してくれる人がないと、受賞はないわけです。この小説は、住吉大社の近くでたこ焼き屋を営む主人公・十と喜き子こが、ご近所のちょっとお節介なおじさん、おばさんたちと一緒に、身の周りで起こる事件を解決していく下町人情物語。家の軒下でたこ焼きを焼きながら、通学路で子どもの見守りをしたり、孤独を抱えるお年寄りを気にかける十喜子。私と同年代で同じ母親という立場から、「自分はここまでできひんな」と思いながらも、主人公に自身を投影させている側面があります。十喜子はまちの見守り隊のメンバーとしても大活躍。私の住む地域でも、元気なシニア世代の方々が子どもの見守り活動をされていて、そこからヒントを得ています。私は子ども時代、親子三世代で暮らしていて、おじいちゃんやおばあちゃんがとても身近な存在でした。そんな祖父母が加齢とともに弱っていく姿を見るのはショックでしたが、今となっては貴重な経験だったと思います。「姥捨て山」なんていう言葉があるように、お年寄りは排除されがち。お年寄りも支える側にまわったり、支えられる側にまわったり。そういう自然な姿を見ながら、子どもたちには大人になっていってほしいですね。今は核家族が多く、お年寄りと接する機会が減っています。シニア世代が地域で見守りなどの役割をもつことで、子どもたちのおじいちゃんおばあちゃん代わりになれるんじゃないかなって思います。として親しまれる阪堺電車が商店街の傍を走るなど、昭和の面影を残す町並みが日常に溶け込んでいます。の風景ですが、読む人によってはそれがとても新鮮なようです。小説の聖地巡礼として遠方から訪ねてくる人もいて、とてもうれしいことですね。あり、その宝物を磨くことで地域に恩返しができればと思っています。実はマラソン大会にも出場するほど走舞台となった地域には、チンチン電車地元で育った私にとっては当たり前自分の身近なところに思わぬ宝物が駅伝小説を書いたことがきっかけで、Profile蓮見 恭子 KYOKO HASUMI出身  大阪府堺市学歴  大阪芸術大学美術学科卒業略歴  ・ 2010年『女騎手』で第30回横溝正史るのが好きなんです。今年はマラソンや駅伝など、動きのあるスポーツ小説に再挑戦したいと思っています。これまでと切り口をかえて、選手や指導者が主人公の話ではなく、大会の運営者やマネージャーなど、裏方で普段光が当たらない人にスポットを当てたいんです。今、コロナの影響で大会があちこちで中止になっています。このタイミングでそういった小説を世に出すことには葛藤もありますが、ご当地小説を執筆しつつ、ぜひチャレンジしていきたいテーマですね。第681号 この広報紙の作成には共同募金配分金を活用させていただいていますミステリ大賞の優秀賞を受賞。    ・ 2020年『たこ焼きの岸本』で第8回大阪ほんま本大賞を受賞。     2020年11月には『たこやきの岸本』の 第2弾となる『涙の花嫁行列』を刊行。 現在、第3弾となる作品を鋭意執筆中。読者プレゼントのため、著書にサインをしてくれた。『たこ焼きの岸本』主人公の十喜子が、日課として参拝に訪れる住吉大社

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